NEDO「次世代省エネルギー等建築システム実証事業」について

生物システム応用科学府 秋澤 淳

1.はじめに

2011年12月,小金井キャンパスに140周年記念会館がオープンした.本建物は一階が食堂,二階が会議室,三階が多目的ホールとして使われている.しかしながら,本建物は単にこれらの機能を提供するだけではない.再生可能エネルギー・省エネルギー技術を盛り込んだ拠点となる建物であり,本建物自体が最新の省エネルギー手法および再生可能エネルギー利用の実証試験を行う場として位置づけられている.その意味を込めて140周年記念会館は「ゼロエミッションセンター」と呼ばれている.

ゼロエミッションセンター建設にあたり,NEDOによる「次世代省エネルギー等建築システム実証事業」に応募し,2009年に採択された.本学が提案したテーマは「複数建物連携によるキャンパス内建物群の省エネルギー運用実証事業」である.建物単体の省エネルギービルは多数の事例があるが,建物を連携させてエネルギー融通をする事例は数少ない.本学では140周年記念会館と既存の総合会館とを連携させることを特徴としている.

建設途中で東日本大震災が発生し,工事期間が予定よりも大幅にずれ込んだものの,無事に落成を迎え,建物および各種設備が運用を開始している.本稿ではゼロエミッションセンターに盛り込まれたエネルギー技術や見える化システムについて紹介する.

2.ゼロエミッションセンターに取り入れられた技術

キャンパスにおける省エネルギーおよび再生可能エネルギーの有効利用を実現することを視野におき,ゼロエミッションセンターはパッシブデザイン建築とアクティブシステム設備機器の最適な融合を図ることを目指している.

パッシブ建築

アクティブ設備

ソーラーコレクター

その他のアクティブ設備

3.CO2削減効果と見える化

CO2削減効果の予測

ゼロエミッション建物化することによるCO2削減効果を推定した結果を示す(右図).省エネルギー効果として36%,CO2削減効果として41%の低減が予想された.照明LED化,ヒートポンプ給湯,太陽熱給湯の効果が大きいことがわかる.また,太陽光発電と太陽熱の建物間融通の効果が21%あり,既設建物との連携は省エネルギー・CO2削減に効果的と期待される.

省エネルギー効果の情報提供

ゼロエミッションセンターの機器運用状況は中央監視装置で常時データが計測されている.そのデータから省エネルギー効果を計算し,技術別の寄与を表示するシステムが導入されている.センター2階のディスプレイには様々なデータを表示する画面が用意されている.

4.おわりに

ゼロエミッションセンターは稼働を開始したばかりであり,今後計測データの分析を行い,パッシブ効果やアクティブ効果を評価する予定である.センターができたことによって学生や教職員の皆さんが省エネルギー・再生可能エネルギーに関心を持ち,各種の技術を理解するだけでなく,具体的なエネルギー消費削減の実践につながることを期待したい

  • 東京農工大学